暖冬による北海道の変化:積雪ゼロの影響と可能性
2025年1月27日、札幌市の最高気温は4℃に達し、9日間連続でプラス気温が続きました。積雪も22センチに留まり、1月下旬として42年ぶりの少なさです。これがもたらす影響と可能性について深掘りしていきます。
気象異変と積雪ゼロの北海道
帯広市立稲田小学校の校長である鈴木宏和氏は、「30年以上教師をやっているが、初めての経験」と語っています。北海度内での異常ともいえるこの暖かさは、広範囲に影響を与えています。
例えば、札幌市豊平区の羊ヶ丘展望台では、冬のアクティビティを楽しむイベントが始まりましたが、齋藤圭介副支配人は「(イベントが)本当にスタートできるのか不安になるほど雪が少ない」と語ります。この展望台では、積雪不足を補うため、さっぽろ雪まつり会場の削り雪を使ってチューブすべり台を補修しています。
積雪不足が農業に与える影響
十勝地方の農作物にも、雪不足は影響を及ぼしています。秋蒔き小麦は通常、雪を「保温材」として土壌凍結を防ぎますが、2025年は積雪がほとんどないため、土の中の凍結が例年以上に深くなっています。
十勝農業改良普及センターの三上泰史主任普及指導員は、「今年は雪が少なかったことで、麦がずっと外にさらされているような状況だった」と述べ、越冬作物にも土壌凍結の影響が見られる可能性を示しています。
積雪ゼロがもたらすポジティブな影響
一方で、この暖かさは良い影響も生んでいます。伊達市の若松農園では、ビニールハウスで栽培する野菜の生育が早まっていることから、春の野菜が早めに収穫できる可能性があるといいます。
若松航洋さんは「温暖な気候を利用し、順番に植えた野菜が早めに取れるようになっている」と話し、暖房を使わずに作業を進めています。
偏西風の流れと今後の展望
気象予報士の児玉晃氏によれば、例年より少ない雪と高い気温の原因は偏西風の流れの影響です。2025年は偏西風が大きく蛇行し、低気圧が北海道付近に近づかなかったため、寒気の影響が弱まったと考えられます。
今後の見通しについては、偏西風の蛇行が緩やかになるため、低気圧の影響を再び受けやすくなるとしています。例年通り、2月と3月には湿った大雪が降る可能性があるため注意が必要です。
積雪ゼロという異常事態がもたらす多面的な影響について理解を深めることが、これからの季節への備えと対応策に繋がります。