学校教育法が問う学生スポーツ界の体罰問題
今月5日、龍谷大平安高(京都市)は、硬式野球部の部員2人に対して体罰を行った原田英彦監督(64)が退職したと発表しました。ライターの広尾晃氏は「一部メディアで原田氏を擁護する声が散見されましたが、それはおかしい。学生野球界は早急に『体罰=一発アウト』という規定を作るべきです」と述べています。
甲子園の強豪校での体罰報道
龍谷大平安高は、旧称の平安高時代から野球強豪校として名を馳せてきました。1916年に夏の甲子園京都府大会に初出場して以来、春の甲子園には42回、夏には34回出場し、全国優勝を春1回、夏3回成し遂げています。出身選手には、元阪神監督の金田正泰や、殿堂入りした広島の衣笠祥雄がいます。現役選手には西武の炭谷銀仁朗や楽天の中島大輔がいます。この名門校で、原田英彦前監督が部員に対し暴力を振るったことが明らかになりました。
事件の詳細と学校の対応
原田前監督は2月中旬、課題を提出していなかった硬式野球部の部員2人を寮に呼び出しました。報道によれば、部員1人の頭を手のひらで、頭と肩、のど付近を紙製ノートで10回以上たたき、もう1人の部員には手のひらで頭を5回ほどたたきました。翌日、1人の部員が「監督から暴力を受けたため登校できない」と学校に申告し、暴行が明らかになりました。 病院の診断結果、この部員は打撲で30日の通院が必要でしたが、現在は復帰しています。
迅速な学校の対応とその影響
学校側は暴行発覚後、日本高野連に即座に報告し、事件について公表しました。また、懲戒処分の手続きを進めましたが、事実関係を精査するとしていったん取り下げました。このため、日本高野連は3月4日に開催される日本学生野球協会審査室会議に処分申請を見送ることにしました。
原田前監督は事件後、自宅待機となり2月17日に退職届を提出し、3月2日付で退職が決まりました。3月5日には山脇護校長が会見を開き、謝罪しました。「本校の監督が部員に対して体罰を行ったことにより、多大なご心配ご迷惑をお掛けしました。深くお詫び申し上げます」と述べました。
学校教育法と学生野球界の課題
原田前監督は年度内の退任が予定されていましたが、自らの辞職が学校を学生野球協会の処分から守る意図があったと考えられます。辞任に際し、「生徒を何とか活躍させたいという思いが強く、体罰に至ってしまいました。大変申し訳ないことをした。学校に戻って野球を続けてほしい」と述べました。
今回の事件は、学校教育法が定める学生の権利と保護に関する問題を改めて浮き彫りにしました。体罰が一切容認されないべき教育現場で、明確な規範を設ける必要性が高まっています。そして、学生スポーツ界全体が「体罰=即時退場」というスタンスを持つことが求められます。