『死んでくれないか』-山田と二Eの青春物語
本稿では、金子玲介の著作『死んだ山田と教室』を紹介します。この物語は、啓栄大学附属穂木高校の二年E組での不思議な出来事を追いかけます。
山田の不思議な存在
『死んだ山田と教室』は、クラスの人気者だった山田が、夏休み直前に不幸にも飲酒運転の車によって命を落とすことから始まります。しかし、山田はスピーカーを通じて声だけは出せる状態にありました。「俺このクラス大好きで、二Eのみんなとずっと馬鹿やってたいなっていつも思ってるから、それでこうなったのかもしんないっす」と山田は語ります。このような状況に現実味を感じないものの、クラスメイトたちは次第にそれを受け入れていきます。
『死んでくれないか』と二Eの奇妙な日常
生徒たちは、山田と会話する際の合言葉として「おちんちん体操第二」を設定し、毎回声をかけてから会話を始めるというユーモラスな日常が展開されます。彼らの行動には笑いが絶えないものの、山田の死を乗り越えようとする姿勢も見られます。
青春の日々と『死んでくれないか』の魅力
文化祭では、クラス全員が山田の姿になって「山田カフェ」を開き、山田の誕生日を祝うなど、青春そのものの日々が描かれています。これらの無邪気なノリと独特の設定が、『死んでくれないか』の大きな魅力の一つです。
進級した後も続く山田の存在
物語は、進級して三年生になってもなお続きます。山田はスピーカーの中に留まったまま、その状態を脱することができません。クラスメイトたちが卒業し、社会に出た後も彼の声は残り続け、永遠に年を取ることなく存在し続けるのです。
山田の死の真相と切ない結末
物語の終盤では、山田の死の真相が明かされます。前半の輝かしい日々との対比が切なさを増し、読者はそれぞれの青春時代に思いを馳せることでしょう。この独自の設定とユーモア、ダークさが融合した物語は、多くの読者にとって新たな視点を提供します。
『死んでくれないか』は、ユーモアと感動が詰まった作品であり、読後には山田と二Eの生徒たち、そして自身の青春が愛おしく感じられることでしょう。