トランプ大統領就任演説と九州経済への影響
2021年1月21日未明、日本時間においてアメリカでトランプ氏の大統領就任式が挙行されました。二期目を迎えるトランプ政権が九州経済にどのような影響をもたらすのか、ここで深く掘り下げて考えてみましょう。
「アメリカ・ファースト」政策とその影響
トランプ氏は大統領選挙で圧勝後、「アメリカ・ファースト」というスローガンのもと、即座に100本以上の大統領令に署名し、不法移民取り締まりなどへの初動を開始しました。ワシントンで行われた凱旋集会では、祝賀ムードに包まれた中、この政策の方向性を強調しました。
九州経済における最大の懸念:関税の引き上げ
特に九州経済にとって最も影響が懸念されるのは、関税の引き上げです。九州経済調査会の河村奏瑛研究員は「関税の引き上げが九州の企業、特に経済に大きな影響を及ぼす」と指摘しています。トランプ氏は選挙公約として、すべての貿易相手国に対して一律に10%から20%の関税をかけると宣言しており、これが現状の日本への平均関税率2.8%から大幅な引き上げにつながる可能性があります。
自動車業界への影響の大きさ
とりわけ影響が大きいと考えられるのが、自動車業界です。自動車本体はもとより、エンジンやタイヤなどの関連部材も、九州からアメリカに多く輸出されています。九州は2023年の貿易輸出額において、アメリカを中国に次ぐ二番目の大きな輸出国として位置付けており、その額は1兆1700億円を超えています。特に自動車は、九州からのアメリカへの輸出全体の46.2%を占めており、このため、関税引き上げが九州経済、特に自動車関連の企業に大きな打撃を与える恐れがあります。
以上のように、トランプ大統領の就任と「アメリカ・ファースト」政策は九州経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。九州の企業はすでに対策を講じ始めており、今後の展開が注目されます。