北海道における特別天然記念物タンチョウの保護と風力発電計画の見直し
北海道苫小牧市と厚真町で計画されている「苫東厚真風力発電事業」に関して、環境相はこの計画の抜本的な見直しを求める意見を発表しました。対象となる現場の湿地には、国の特別天然記念物であるタンチョウの繁殖地が確認されており、日本野鳥の会は「貴重な繁殖地を守るべきだ」として計画の中止を求めています。
計画の詳細と特別天然記念物への影響
この事業では、海岸に近い約336ヘクタールの区域内に出力4300キロワット程度の風車を10基建設する計画で、2028年度からの営業運転開始が目指されています。特別天然記念物であるタンチョウの繁殖に配慮して、大ガス側は一部の風車を海側に設置する計画変更を行いました。しかし、環境相はタンチョウ以外にも、国の希少種に指定されているオジロワシやチュウヒの移動経路の阻害や衝突事故、生息地放棄などの重大な影響を懸念しています。
環境相の意見と住民・自治体の声
環境相の意見は、風車の設置取りやめや配置の変更、追加の環境保全措置が求められています。大ガス側は地域の意見を慎重に受け止め、「各自治体や住民の皆様からのご意見を真摯に受け止め、事業方針等について検討を重ねていく」とコメントしています。このような声を受けて、計画の見直しがどのように進むのか注目されています。
北海道の自然遺産：特別天然記念物であるタンチョウの現状
特別天然記念物であるタンチョウは、北海道を代表するツルであり、近年の保護活動によって個体数が回復しています。北海道内の2024年度の越冬分布調査では過去最多の1927羽が確認されており、生息地は主に道東を中心としています。しかし、今回の計画地付近は道内での分布の西端の一つとされています。この事業がもたらす影響が如何に大きいかは明らかであり、地域の生態系保全についての課題が問われています。
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