昭和35年から見るTBSテレビの美術史
日本のテレビ史において、TBSテレビは一つの象徴と言える存在です。その背景には、創業初期から支えた数々の**美術セット**と、それを記録に収めた膨大な写真群があります。
昭和35年を振り返る:TBSテレビの歩み
TBSテレビが開局したのは、昭和30年4月1日。戦後の新たなメディアとして、その歩みを始めました。特に昭和35年は、テレビが日本の家庭に広がる過程で、重要な位置を占める時期となります。この年を中心に、TBSはラジオや映画、演劇など既存のメディアからインスピレーションを得つつ、新たな映像表現の模索を続けました。
テレビ美術の重要性:セットが持つ力
多くの視聴者が注目するスターやタレントの陰で、番組に魂を吹き込むのが美術チームでした。**テレビ美術**の力は、出演者の演技や物語のリアリティを高め、視聴者を物語の世界へと引き込む原動力となりました。特に、昭和35年頃からのセット制作は、テレビの進化とともに重要度を増していきました。
初代「美術写真係」による記録の価値
TBS美術部が「美術写真係」として後藤貞雄を任命したのは、昭和31年のことです。彼の任務はセット制作には携わらず、スタジオセットやロケ写真の撮影でした。この記録活動が、後に25万枚という膨大な文化遺産として今に伝わっています。
昭和35年当時の写真は、テレビ草創期の貴重な文化的資料であり、当時の社会や文化、技術の変遷を読み解く鍵となります。
デジタル化プロジェクトの背景
21世紀に入り、TBS美術デザイン部はこの膨大な写真群の保存と活用を模索しました。デジタル技術の進化に伴い、昭和35年を含むこれらの資料をデジタルアーカイブ化する取り組みが始まりました。この作業には20年以上が費やされ、ついに一部が一般公開されています。
TBSヴィンテージクラシックスの小島英人氏は、これを単なる保存を超えた日本文化の継承として捉えています。**デジタル化**を経て、多くの人々が昭和35年の社会が映し出された貴重な資料を目にすることができるようになりました。
結びにあたって
これらの一連の写真は、TBSテレビが歩んできた70年の歴史を映し出しています。特に昭和35年というキーワードを介して、日本のテレビ文化を再発見することは、新たな発見と感動をもたらすでしょう。