中国のAI革命がもたらす影響〜DeepSeekとエヌビディアの株価急落〜
1月27日、米国の半導体大手エヌビディアの株価が急落しました。これは、中国のAI企業であるDeepSeekが、米国のチャットボットに匹敵する性能を持ちながら、コストをそのわずか数分の1に抑えた革新的なAIモデルを発表したためです。エヌビディアの株価は、この日の株式市場で17％も下落し、同社の時価総額に歴史的な影響を与えました。
中国のAIによる市場への影響
DeepSeekによるこのAIモデルの発表は、エヌビディアの株価に大きな影響を与え、同社の時価総額は一日で5890億ドル（約91兆2000億円）減少しました。これにより、エヌビディアは世界で最も時価総額が高い企業の一つとしての地位を失いました。
さらに、同日、S&P 500は1.5％安、ナスダックは3.1％安を記録し、多くのハイテク株が大幅に下落しました。これは、エヌビディアに続き、他のAI関連企業であるArmやブロードコム、オラクルなどの株価も10％以上下落したためです。
エヌビディアとDeepSeekの関係性
エヌビディアの広報担当者は、DeepSeekのAIモデルが米国の輸出管理規制に準拠していると述べています。また、このAIモデルの開発にはエヌビディア製GPUが大量に使用されていることを考えれば、DeepSeekの快挙は必ずしもネガティブなものではないという意見もあります。
ただし、このAIモデルの開発コストはわずか560万ドル（約8億7000万円）とされており、一部の専門家はこの数字が低く見積もられている可能性を指摘しています。とはいえ、この低コストでの実現は、エヌビディアの将来に一抹の不安を投げかけています。
エヌビディアの利益と将来への懸念
エヌビディアの純利益は2022年に48億ドル（約7450億円）だったのが、2024年には667億ドル（約10兆3500億円）に急増しました。この増加の背景には、OpenAIやメタといった米国企業間でのエヌビディア製GPUの需要の高まりがあります。
しかし、もし米国のハイテク大手が中国のAI企業であるDeepSeekの手法を学び、より低コストでAIシステムを設計するようになった場合、それはエヌビディアにとって大きな課題となる可能性があります。
ジェンスン・フアンCEOの資産減少
エヌビディアのCEOであるジェンスン・フアン氏の資産も、株価の下落により、フォーブスの推計で27日に約210億ドル（約3兆2600億円）減少し、1031億ドル（約16兆円）となりました。彼はエヌビディアの最大の個人株主であり、約3％の株式を保有しています。
このように、中国のAIがもたらす変化とエヌビディアの挑戦は、今後のテクノロジー産業において大きな注目を集めるでしょう。
