羽生結弦による6分間練習を活かした新たな挑戦
プロフィギュアスケーターとして活躍する羽生結弦さん(30)の特別インタビュー第2回。今回、千葉公演での「Yuzuru Hanyu ICE STORY 3rd “Echoes of Life” TOUR」で披露された「ピアノコレクション」について深く掘り下げます。千秋楽を迎えるこのツアーでは、5曲のピアノ作品を通じて羽生さん独自の6分間練習を取り入れた構成が話題です。この演技の背景や羽生さんのこだわりを語っていただきました。
ピアノコレクションが持つ意味とは
羽生さんの演目「ピアノコレクション」は、試合での6分間練習を新たに解釈したものとして位置づけています。この構成に至るまでの発想にはどのような意図があったのでしょうか。
「そもそもは、6分間練習どうしよう問題が、まずあったんですよ」と羽生さんは語ります。プロ転向後のショーでは、6分間練習を作品の一部として組み込んでおり、この斬新な演出は「試合っぽさを出したい」という思いが基にあるといいます。この6分間の練習は、彼の競技経験を観客に伝えるための大切な要素となっています。
ピアノ曲選曲の裏にあるこだわり
今回のメドレーは、ブラームス、バッハ、スカルラッティ、ショパン、ショパンという5曲で構成されています。選曲についても羽生さんは「すごく難しかった」と振り返り、「時系列に並べたり、進化の過程を示したり、ショパンに飲み込むかなどを考えました」と語ります。このような試行錯誤の中でピアニストの清塚信也氏とも協力し、最終的な選曲を決定しました。
羽生さんは、これらの曲に対するこだわりを強く持っており、「バロックは使いたい」と言及したことからも、その深い思考が垣間見えます。清塚氏との協議によって緻密な編集を施し、結果として高い完成度を誇るプログラムに仕上がりました。
緊張感が際立つ演技構成
このプログラムは、5曲のピアノメドレーから始まり、過去の金メダル獲得演目へとつながります。その間、会場は息をのむほどの緊張感に包まれます。競技さながらの真剣な雰囲気が、観客に大きな感動を与えているのです。
羽生さんは「公式練習の姿が好きだと言ってくれる方も多いですし、ストイックに一つのものに取り組む姿も一種の表現だと思います」と語り、自身の考えを作品に昇華することの意義を示しています。
6分間練習の特異性と挑戦
6分間練習は試合の滑走直前に最大6人のグループごとに氷上で行われる最終調整の時間です。この限られた時間をどう活かすかが選手にとって重要であり、羽生さんはこれをひとつの物語として捉え、それを作品の中に組み込んだ新しい試みを行っています。
演じる曲の中で一番きついと羽生さんが感じるのはどの曲なのでしょうか。「全部きついです!」と笑顔で語る羽生さんの姿からも、彼の並々ならぬ努力と挑戦の歴史が見えてきます。
このように、6分間練習という斬新なアイデアを通じて、羽生結弦さんは新たな表現の境地を開拓し続けています。