官僚の給与事情とその影響
2023年1月28日に逝去された経済アナリストの森永卓郎さんは、生前に日本経済の長期低迷の理由として「日本の経済社会を支えてきた官僚が、小市民化したことが一つの大きな原因だ」と述べていました。彼の著書『官僚生態図鑑』より、官僚たちの給与事情についてより詳しく見ていきましょう。
官僚の給与は民間企業よりも魅力的?
かつて、国家公務員の給料は非常に低かったとされています。しかし、今では民間企業と比べるとかなり良好な待遇を受けているのが現状です。国家公務員の平均年収は公表されていないものの、人事院が2023年8月に発表した「国家公務員給与等実態調査」によれば、全職員の平均給与月額は41万2747円です。この金額は2022年の実質的な平均給与であり、残業手当を含まない数値のため、実際にはもう少し高いと推定されます。
国家公務員の年収とボーナス
内閣官房内閣人事局が発行する「国家公務員の給与(2022年版)」によると、年間賞与はおよそ4.4カ月分とされています。これを基に単純計算すると、国家公務員の平均年収は約677万円になると考えられます。
民間企業の給与との比較
一方で、国税庁が発表した2022年分「民間給与実態統計調査」によると、民間企業での平均年収は389万6000円です。この数値を考慮すると、国家公務員の年収は民間よりも74%高いという結果になります。
公務員の高給の理由とは?
では、なぜ国家公務員の給料が民間企業よりも高いのでしょうか。これは、日本の行政システムの中で安定性と競争力を確保するための一環として、国家公務員の職務に魅力を持たせるためであると言われています。このような待遇は、各職種の責任の重さや専門性に対しても設定されていますが、結果として公務員になることが一つのキャリア目標とされる背景を作り出しています。
公務員の給料は社会全体の賃金格差にも影響を及ぼす可能性があります。特に日本のような成熟した経済の中では、国や地方自治体の支出はしばしば注目され、持続可能な給与体系の再検討が求められることが多くなっています。