豊田章男とトヨタ工業学園:テストドライバー育成の舞台裏
トヨタ工業学園とは何か?
トヨタ自動車が運営する「トヨタ工業学園」は、高等部と専門部に分かれており、3年間の高等部と1年間の専門部で自動車開発に必要な高度な技能を習得します。この学園を卒業した後、学生たちはどのようなキャリアを歩むのでしょうか?
ノンフィクション作家の野地秩嘉さんによる連載「トヨタの人づくり」は、トヨタ工業学園の卒業生がどのように職場で活躍しているのかを描いています。今回は第10回目として、テストドライバーに求められる資質に焦点を当てています。
下山テストコースと豊田章男のビジョン
下山テクニカルセンターは、先進的なテストコースを有し、トヨタ市と岡崎市にまたがる約650ヘクタールの広大な敷地にあります。この広さは、東京ディズニーランドの12倍に相当します。豊かで自然な環境を保ちながら、車両開発の現場として機能しています。
トヨタ自動車の社長である豊田章男は、テストコースについてのメッセージで「道が車を鍛え、車をつくる人を鍛える現場」と述べており、さらなる「より良い車両開発」を進めていく意欲を示しています。GR、レクサスのメンバーなど総勢3,000人がこの場で日々奮闘し、「走る・壊す・直す」を繰り返しているのです。
テストドライバーの試練と魅力
テストコースでは、ジェットコースターのような重力を感じる場面もあります。ライターである私自身もテストドライバーの丸田智が運転する車、GRヤリスに同乗し、ニュルブルクリンクを模したコースを体験しました。高度なドライビング技術が求められる道を高速で走るなかで、体が受けるGには驚かされました。
日々、こうした過酷な環境で鍛えられるテストドライバーですが、これは単に車を試すだけでなく、人間自体も成長させる場であると感じました。豊田章男の言葉通り、ここは車と人を鍛える特別な場所なのです。
卒業生たちの挑戦と情熱
トヨタ工業学園を卒業した若きテストドライバーたちの情熱と勇気は、日々新たな自動車技術を生み出す原動力です。卒業生である相良優斗と丸田智も、テストドライバーとしての使命感を持ち続けています。彼らの挑戦は、未来の車づくりを支える重要な役割を果たしているのです。
「下山産のクルマ」が世界中を走り、多くの人々に笑顔を届けることが、トヨタ自動車の目指す大きな夢であり、豊田章男の描く壮大なビジョンです。