専業主婦優遇「3号」廃止見送りに関する情報
厚生省、基本年金支給条件撤廃見送り方針
【公的年金制度と第3号被保険者制度】
厚生労働省は、来年の通常国会に法案の提出を目指している年金制度改革で、会社員らに扶養される配偶者が年金保険料を納めなくても基礎年金を受け取れる「第3号被保険者制度(3号)」の廃止を盛り込まない方針だ。
公的年金制度の加入者には三つの区分がある。自営業者やフリーランスなど国民年金の保険料を自己納付する「第1号被保険者」、会社員や公務員など労働者と雇用主で厚生年金保険料を支払う「第2号被保険者」に加え、専業主婦やパート労働者らで年収による区分がある「第3号被保険者」が含まれる。
【第3号被保険者制度の背景】
第3号は1985年に導入され、サラリーマン世帯の専業主婦に自己名義の年金権を提供する制度である。しかし、共働き世帯の増加に伴い、加入者数は減少傾向にある。
【廃止要求と反対意見】
10月以降、連合や商工会議所、経済同友会などが中小企業の人手不足を背景に第3号の「将来的な廃止」を求める提言を発表。一方、女性の就労を阻むとの意見や3号の所得保障機能を重視する声なども上がっている。
【議論の行方】
厚労省の社会保障審議会年金部会では、3号に関する議論が続けられている。委員の意見は割れており、今後の議論が注目されている。
【今後の見通し】
年金制度は5年に1度見直され、厚労省は将来の議論に向けた取り組みを進めている。現在はパート労働者の厚生年金加入を容易にし、3号からの移行を支援する方針だ。
【宇多川はるか】